自己保持回路は、シーケンス制御において基本となる回路です。
この回路の主な特徴は、一度入力条件がONになると、その後入力がOFFになっても出力がONの状態を継続するという特徴があります。
自己保持回路が使用される場面の例として
- モーターの起動(出力の保持)
- 異常状態の保持
- 各動作の開始や終了
- 条件の記憶
などがあります。
基本的な形は一緒ですので、状況に合わせて使用してください。
自己保持回路を覚えることで様々な回路を作成することが可能になりますので是非覚えていきましょう!
自己保持回路の基本
自己保持回路とは一度入力がONになるとリレーのコイルがONし、ONしたリレーのa接点で自分をONさせる事により、入力がOFFになってもリレーがONし続ける回路です。
X000がONするとM0が出力され、M0のa接点でX000の代わりをして、ONし続ける形になります。
モーターの起動回路
自己保持回路の基本を少し変更するとモーターの起動用の回路になります。
回路を少し改造してモーターの出力を追加しました。
M0の出力をX001のb接点で停止させています。
b接点がないと一度ONするとモーターが止まらなくなるので必ず保持をしたら切る回路も入れるようにします。
今回ご紹介するのは特になにも条件が入っていませんが、通常であればこの回路に自己保持してもよい条件などを追加して起動させます。
異常状態の保持
シーケンス制御をする上で異常回路も重要になってきます。
今回は異常時の保持をご紹介いたします。
モーター起動回路に非常停止の異常を組み込みます。
X002がOFFになるとM900がONして、自己保持が開始されます。
自己保持が開始されるとM0が保持できないようにM900のb接点を入れています。
非常停止の自己保持回路はX002を解除すればリセットボタンでクリアできます。
ただし、非常停止ボタンが解除できていないと非常停止状態は継続するようにリセットボタンは配置してあります。
図のような形でもリセットボタンを押せば非常停止を解除する回路は作成できますが、
この位置にリセットボタンを配置してしまうと非常停止が解除されていないのにリセットボタンを押すと押している間だけ解除されてしまうので大変危険な状態になります。
ですので、異常の自己保持のリセットは最初の回路のように組むのがオススメです。
自己保持とSET命令について
三菱のシーケンサにはSET命令という物があります。
このSET命令を使用して自己保持回路の代わりにすることもできます。
X000がONすることでM0がセット(自己保持)される。
M0がONしてコンベア起動がONになる。
X001がONするとM0がOFFになり、 コンベアは停止する。
上記のようなプログラムを組むことが可能になります。
SET RST命令のメリット
- 2重コイルにならない
- 短い回路で自己保持が可能
SET RST命令のデメリット
- 2重コイルにはならないが、色々な所でSETすることができるので、どこでSETされたかわからない場合がある。
- RSTをしないとONしたままになってしまう。
メリットとデメリットを理解して使用しましょう!